夢十夜 – 第一夜

07/24/2016, 4h listening!


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こんな夢を見た。
腕組をして枕元にすわっていると、仰向あおむきに寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭りんかくやわらかな瓜実うりざねがおをその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、くちびるの色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然はっきり云った。自分もたしかにこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上からのぞき込むようにして聞いて見た。死にますとも、と云いながら、女はぱっちりと眼をけた。大きなうるおいのある眼で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真黒であった。その真黒なひとみの奥に、自分の姿があざやかに浮かんでいる。
自分はとおるほど深く見えるこの黒眼の色沢つやを眺めて、これでも死ぬのかと思った。それで、ねんごろに枕のそばへ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。すると女は黒い眼を眠そうに※(「目+爭」、第3水準1-88-85)みはったまま、やっぱり静かな声で、でも、死ぬんですもの、仕方がないわと云った。
じゃ、わたしの顔が見えるかいと一心いっしんに聞くと、見えるかいって、そら、そこに、写ってるじゃありませんかと、にこりと笑って見せた。自分は黙って、顔を枕から離した。腕組をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。
しばらくして、女がまたこう云った。
「死んだら、めて下さい。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちて来る星の破片かけ墓標はかじるしに置いて下さい。そうして墓の傍に待っていて下さい。またいに来ますから」
自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。
「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」
自分は黙って首肯うなずいた。女は静かな調子を一段張り上げて、
「百年待っていて下さい」と思い切った声で云った。
「百年、私の墓のそばに坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
自分はただ待っていると答えた。すると、黒いひとみのなかにあざやかに見えた自分の姿が、ぼうっとくずれて来た。静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。長いまつげの間から涙が頬へ垂れた。――もう死んでいた。
自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。真珠貝は大きななめらかなふちするどい貝であった。土をすくうたびに、貝の裏に月の光が差してきらきらした。湿しめった土のにおいもした。穴はしばらくして掘れた。女をその中に入れた。そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。掛けるたびに真珠貝の裏に月の光が差した。
それから星の破片かけの落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せた。星の破片は丸かった。長い間大空を落ちているに、かどが取れてなめらかになったんだろうと思った。げて土の上へ置くうちに、自分の胸と手が少し暖くなった。
自分はこけの上に坐った。これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組をして、丸い墓石はかいしを眺めていた。そのうちに、女の云った通り日が東から出た。大きな赤い日であった。それがまた女の云った通り、やがて西へ落ちた。赤いまんまでのっと落ちて行った。一つと自分は勘定かんじょうした。
しばらくするとまた唐紅からくれない天道てんとうがのそりとのぼって来た。そうして黙って沈んでしまった。二つとまた勘定した。
自分はこう云う風に一つ二つと勘定して行くうちに、赤い日をいくつ見たか分らない。勘定しても、勘定しても、しつくせないほど赤い日が頭の上を通り越して行った。それでも百年がまだ来ない。しまいには、こけえた丸い石を眺めて、自分は女にだまされたのではなかろうかと思い出した。
すると石の下からはすに自分の方へ向いて青いくきが伸びて来た。見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。と思うと、すらりとゆらくきいただきに、心持首をかたぶけていた細長い一輪のつぼみが、ふっくらとはなびらを開いた。真白な百合ゆりが鼻の先で骨にこたえるほど匂った。そこへはるかの上から、ぽたりとつゆが落ちたので、花は自分の重みでふらふらと動いた。自分は首を前へ出して冷たい露のしたたる、白い花弁はなびら接吻せっぷんした。自分が百合から顔を離す拍子ひょうしに思わず、遠い空を見たら、あかつきの星がたった一つまたたいていた。
「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。


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做了這樣一個夢。
我抱著胳膊坐在女人枕邊,仰躺著的女人溫柔地說:我將要死了。女人的長髮舖陳在枕上,長髮上是她那線條柔美的瓜子臉。白晰的臉頰泛出溫熱的血色,雙唇當然也是鮮紅欲滴。怎麼看也看不出將要死去的樣子。可是,女人卻溫柔且清晰地說:我將要死了。我也感到,女人真的快要死了。
於是,我俯視著她的臉再度問說:是嗎?妳快要死了嗎?
女人睜大雙眸,回我說:是啊,我一定會死。
在那雙大又濕潤的眸中,細長的睫毛包裹著一片漆黑。而黝黑的眼眸深處,鮮明地浮泛著我的身姿。
我眺望著這雙深邃無底的黑瞳色澤,暗忖,這模樣真會死嗎?
然後懇切地將嘴湊近枕邊再問:妳不會死吧!沒事吧!
女人極力張開昏昏欲睡的雙眸,依舊溫柔地回說:可是,我還是會死的,沒辦法呀。
我接二連三地問她:那,妳看得到我的臉嗎?
她輕輕笑說:看,在那兒嘛,不是映在那兒嗎?
我沉默地自枕邊移開臉龐。抱著胳膊,依舊不解,她真的非死不可嗎?
過了一會,女人又開口:
「我死了後,請你將我安葬。用偌大的真珠貝殼挖掘一個深坑,再用天河降落的星塵碎片做為墓碑。然後請你在墓旁守候,我會回來看你的。」
我問她說,什麼時候會回來。
「太陽會升起吧,又會落下吧,然後再升起吧,然後再落下吧……當紅日從東向西,從東方升起又向西方落下這當兒……你能為我守候嗎?」
我不語地點點頭。女人提高本來沉穩的聲調說:
「請你守候一百年。」又毅然決然地接道:
「一百年,請你一直坐在我的墓旁等我。我一定會回來看你。」
我只回說,一定會守候著。剛說完,那鮮明映照在黑色眼眸深處的我的身影,竟然突兀地瓦解了。宛如靜止的水突然盪漾開來,瓦解了水中的倒影一般,我正感到自己的影像好像隨淚水溢出時,女人的雙眸已嘎然閉上了。長長的睫毛間淌出一串淚珠,垂落到頰上……她已經死了。
然後,我到院子用真珠貝殼開始挖洞。那是個邊緣尖銳,大又光滑的真珠貝殼。每當要掘土時,都可見貝殼裡映照著月光閃閃爍爍。四周也飄蕩著一陣溼潤泥土的味道。深穴不久就挖好了。我將女人放置其中,再輕輕蒙覆上柔軟的細土。每當要覆土時,都可見月光映照在貝殼上。
然後我去撿拾掉落在地的星塵碎片,輕輕擱在泥土上。星片是圓的,或許是在漫長空際墜落時,逐漸被磨去了稜角。當我將星片抱起擱放在土堆上時,覺得胸口及雙手有了些許暖意。
我坐在青苔上。抱著胳膊眺望著圓形墓碑,想著,從現在開始我就得這樣等候一百年。然後,正如女人所說,太陽從東方升起了。那是個又大又紅的太陽。然後,再如女人所說,太陽從西方落下去了。火紅地、靜謐地落下去了。我在心裡數著,這是第一個。
不久,嫣紅的太陽又晃晃悠悠地升起。然後,再默默地西沉。我又在心裡數著,這是第二個。如此第一個、第二個地默數著當中,我已記不得到底見了幾個紅日。
無論我如何拼命默數,數不盡的紅日依然持續地越過我的頭頂。然而一百年依然還未到。最後,我眺望著滿佈青苔的圓墓碑,不禁想著,是否是被女人騙了。
看著看著,墓碑下方,竟然斜伸出一條青莖,昂首向我逼近。眨眼間即伸長到我胸前,然後停住。搖搖晃晃的瘦長青莖頂上,一朵看似正微微歪著頭的細長蓓蕾,欣然綻放開來。雪白的百合芳香在鼻尖飄蕩,直沁肺腑。
之後自遙不可知的天際,滴下一滴露水,花朵隨之搖搖擺擺。我伸長脖子,吻了一下水靈靈的冰涼雪白花瓣。當我自百合移開臉時,情不自禁仰頭遙望了一下天邊,遠遠瞥見天邊孤單地閃爍著一顆拂曉之星。
此刻,我才驚覺:「原來百年已到了。」

松隆子-夢的點滴

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梦十夜之第一夜

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